Notes/Dominoとは?メリット・デメリット、移行方法まで解説
1989年にグループウェア製品として登場し、大企業を中心に導入されたNotes/Domino。
2000年には、サイボウズ Office 、Google WorkspaceやMicrosoft 365が出てきてシェアが奪われていった関係で、Notes/Dominoを知らない人もいるでしょう。
今回はノーツコンソーシアムの団体に参加している弊社が、Notes/Dominoについてわかりやすく解説します。この記事を読むことで、Notes/Dominoに対する理解が深まるはずですので、ぜひ読んでみてください。
Notes/Dominoとは
Notes/DominoとはHCL Technologies社が提供しているグループウェア製品です。
ユーザーが操作するデバイスとサーバーを接続するために使用する「Notes」、サーバー機能を提供する「Domino」があり、アプリケーションプラットフォーム全体を「Notes/Domino」と呼びます。
Notesを利用すればメールやスケジュール、ファイル共有の他、LotusScriptの独自言語で簡単にアプリケーションを開発することが可能です。また、セキュリティ面に強いため、社内情報の保護に適しています。
Notes/Dominoの歴史
HCL Technologiesが提供しているNotes/Dominoには、長い歴史があります。
1989年にLotus Development社がLotusを販売し始めました。グループウェア製品での市場投入は非常に早い時期で大きな注目を浴び、1995年にIBM社がLotus Development社を買収して、電子メール、電子掲示板、カレンダー、アプリ開発機能などバージョンアップしていき、Notes/Dominoと名前まで変えました。全盛期は7割の企業がNotes/Dominoを導入していたとも言われています。
しかし、2000年代からサイボウズ Office 、Google WorkspaceやMicrosoft 365が出てきてシェアが奪われていきました。
2017年にIBM社とHCL Technologies社の協業が発表されましたが、2019年にHCL Technologies社がNotes/Dominoを買収し今に至ります。
Notes/Dominoを提供するHCL Technologies社とは
HCL Technologies社はインドの大手IT企業です。世界60カ国に224,000人以上の従業員が在籍しており、エンジニアリング、クラウド、AIを中心に、テクノロジー・ソリューションを提供しています。
2023年度の売上高は約2兆700億円(131億ドル相当)で規模が大きい会社です。
HCL Technologies社は、数十年にわたりAI運用経験をしてきており、生成AIが注目されている中で有利なポジションにいます。
「2024 Brand Finance Global 500 and IT Services Top 25 Report」では、最も急成長しているIT企業に選出されています。
日本ではHCL Technologies社の知名度が低く、IBM社の知名度が高いことから、Notes/Dominoは時代遅れと言われがちです。しかし、HCL Technologies社について詳しく調べれば素晴らしさに気づけるでしょう。
関連記事>>HCLテクノロジーズとは?Notes/Domino提供会社の魅力を解説
Notes/Dominoのメリット
2019年にHCL Technologies社がNotes/Dominoを買収してバージョンアップがされています。Notes/Dominoを使用し続ければ3つのメリットが得られます。
ノーコード/ローコード開発が行える
ノーコード/ローコード開発機能のHCL Domino Leapが用意されており、さまざまなビジネスアプリを専門家でなくても開発できるようになります。ノーコード/ローコード開発ができるため、LotusScriptの独自言語を覚える必要もありません。
Docker技術で自社に合ったサーバーを利用できる
Dockerはコンテナ型仮想化と呼ばれる技術力を活用して、HCL Dominoをあらゆるサーバー環境で利用することができます。
これまで、オンプレミスサーバーでしか使用できないイメージが強いDominoサーバーでしたが、社内サーバー、データセンター、ホスティングサービス、SaaS、IaaSなどのサーバーが利用できます。つまり、クラウドサーバーを利用することが可能です。
費用対効果が優れた業務アプリ
現在、Notes/Dominoはユーザーサブスクリプション型のライセンスを採用しています。
このライセンスモデルでは、ユーザーが利用できるアプリの数に上限がなく、業務アプリを多く開発・活用するほどコストパフォーマンスが向上します。
また、Notes/Domino以外のサーバーや追加サービスの運用・ライセンスは不要なため、シンプルな環境で効率的にシステムを運用できます。そのため、アプリ開発が可能なグループウェア製品をお探しの方には、非常に満足度の高い選択肢となるでしょう。
定期的にバージョンアップされる
2019年にHCL Technologies社がNotes/Dominoを買収して以降、継続的なバージョンアップが行われ、ユーザーの利便性が大幅に向上しています。
HCL Technologies社は、クラウド対応やモバイルアプリの強化、最新技術の導入などを積極的に進め、より直感的で使いやすいグループウェアへと進化させています。
今後も継続的な開発・改善が予定されており、Notes/Dominoは引き続き企業の業務効率化に貢献する製品として発展を続けていくでしょう。
バージョンアップの一例
1. マルチデバイス対応 & クライアントインストール不要
- モバイルアプリ対応(Nomad):PC・スマホ・タブレットで利用可能なモバイルアプリを提供
- ブラウザ利用(Nomad Web):クライアントのインストール不要で、ブラウザから直接アプリを利用可能
2. クラウド対応のグループウェアへ進化
- オンプレミスに加え、クラウド環境での運用が可能に
- Docker対応など、柔軟なサーバー環境を実現
3. アプリ開発の簡素化
- ノーコード/ローコード開発(Domino Leap):プログラミング知識不要でアプリ開発が可能
4. システムの安定性・セキュリティ向上
- バージョン間の互換性向上:バージョンアップ時のリスクを低減
- セキュリティ強化:企業の安全性を確保
5. 情報検索の利便性向上
- 企業内検索システムの強化:横断的に情報を探索し、業務効率を向上
HCL Technologies社はユーザーの声を真摯に受け止めてバージョンアップしています。
Notes/Dominoのデメリット
Notes/Dominoにはデメリットもあります。
HCL Technologies社の知名度が低い
国内において、HCL Technologies社の知名度はまだ十分に浸透していないのが現状です。
かつてNotes/Dominoを提供していたIBM社は知名度が高かったため、一部では、
「HCL Technologies社のNotes/Dominoを使い続けるのは時代遅れでは?」
といった誤解が生まれ、「脱ノーツ」を勧められるケースがあります。
特に、IT企業の中にはHCL Technologies社の実態を説明しないまま、「Notes/Dominoは時代遅れだから移行しましょう」と提案してくるケースも少なくありません。
こうした提案は、顧客の立場やシステムの最適解を十分に考慮せず、単に移行ありきの営業トークであることが多いため、慎重に対応することが重要です。
従来の製品はバージョン互換性がなかった
従来のNotes/Dominoは現在ほどのバージョン互換性が確保されていなかったため、バージョンアップ時にアプリが正常に動作しないケースがありました。その結果、一部の企業では「改修コストを避けるためにバージョンアップを見送る」という選択を取ることもありました。
しかし、バージョンアップを行わずに古い環境を使い続けることは、セキュリティリスクや性能の低下を招くため非常に危険です。
Notes/Dominoの運用面で問題が発生しがち
1989年にグループウェア製品として販売されたNotes/Dominoは、当時多くの企業で活用されました。
しかし、2000年代に入ると「サイボウズ Office」「Google Workspace」「Microsoft 365」といった競合製品が登場し、シェアが次第に奪われていきました。その影響で、現在ではNotes/Dominoを知らない人も増えつつあります。
さらに、Notes/Dominoは独自の開発言語を持つため、対応できる技術者が減少しているのも事実です。そのため、社内でNotes/Dominoの運用・保守を担当していたキーパーソンが退職してしまうと、運用面で大きな課題が発生する可能性があります。
このようなリスクを回避するためにも、Notes/Dominoの運用を外部に委託する、または適切なサポート体制を構築することが重要です。
Notes/Dominoに関する相談ならケートリック
サポートが切れたNotes/Dominoの最新バージョンへの移行から、担当者不在で改修が困難なアプリのメンテナンスまで、ケートリックが幅広く対応いたします。
- 対応可能なサポート内容
- Notes/Domino サーバー保守・管理・メンテナンス
- Notes/Dominoバージョンアップ
- 自社開発のNotesアプリの改修・保守(開発者が不在でも対応可能)
- 保守が終了した他ベンダー開発のNotesアプリの改修・保守
- 数時間程度の軽微な開発・改修
弊社の保守サポートは、1時間単位の実工数に基づき、柔軟に対応いたします。
Notes/Dominoの知見を保有
ケートリック株式会社は、ノーツコンソーシアムの団体に参加しておりNotes/Dominoの運用・保守、アプリ開発が行える会社です。
1989年にNotes/Dominoが販売され、2019年にHCL Technologies社がNotes/Dominoを買収後もNotes/Dominoの運用・保守をしています。
お客様のNotes/Domino環境でお困りの状況をお聞きした上で、どのような方法を取るのがベストなのかご提案することができます。
独自技術で既存アプリを移行可能
ケートリック株式会社の独自技術を活用することで、Notes/Dominoの業務アプリをモダンなWEB対応アプリへ完全移行することが可能です。
Domino上で稼働するローコード/プロコード開発システム「consentFlow」を利用した開発が可能となり、既存のサーバー環境をそのまま活用できるため、インフラの大幅な変更は不要です。
consentFlowのメリット
- ノーコード/ローコード開発が可能 → 簡単に業務アプリを構築することができます
- プロコード開発にも対応 → Javaなどのプログラミング言語を使用可能
- 開発・運用・保守の人材確保が容易に → JavaScriptなど一般的な開発スキルで対応できる
Notes/Dominoの移行費を抑えられる
Notes/Dominoを別システムに移行する場合は、数億円の移行費がかかることがあります。なぜなら、別システムに移行する際には職位コードや各種セキュリティ権限など複雑な設定をゼロから移行先システムに合わせて検討しなければならないためです。
しかし、ケートリックの独自技術を使用すれば、アプリを完全に移行することができます。現在の既存アプリの文書、アクセス権限、公開アドレス帳(DJX含む)がもつ所属階層や職位情報をそのまま引き継げるため、移行費を大幅に抑えられます。
どの程度移行費を抑えられるか知りたい方はは、ぜひ相見積もりを取ってみてください。
まとめ
Notes/DominoとはHCL Technologies社が提供しているグループウェア製品です。HCL Technologies社はユーザーの声を真摯に受け止めてバージョンアップしており、今後も期待できるグループウェア製品です。
しかし、バージョンアップにかかる負担を理由に、バージョンアップせずに使い続けるという選択肢をとる企業様もいました。このような使い方は、セキュリティ面および性能面で大きな問題をもたらすため避けてください。
また、DX化が進まないノーツアプリを抱え続けることに不安を感じる企業様もいるでしょう。そのような場合は、Notes/Dominoで作った自社アプリを完全に移行できる技術を持った弊社にお任せください。
移行費用を抑えたい場合はご満足頂けるはずです。ぜひ、お気軽にご相談ください。