Notes/Dominoの将来を考える

なんか今回はブログのタイトルをどうするか少し悩みました(笑)

2018年12月7日(金)にIBMから驚きの発表がされました。

https://newsroom.ibm.com/2018-12-06-HCL-Technologies-to-Acquire-Select-IBM-Software-Products-for-1-8B

IBMがNotes/Dominoを含むエンタープライズ向け製品をHCL Technologiesに18億ドルで売却すると発表がありました。

HCL Technologiesって?

今回のニュースを多くのメディアが一斉に取り上げたため、昔Notes/Dominoに携わっていたという人などにとっては、今回初めてHCLという会社を目にした人たちも多いかもしれません。

少し古いかもしれませんが手元にあるHCLのポートフォリオでは売上高で78.8憶米ドル7.2億ドル、社員数12万人、日本を含む世界39拠点を持つまさに巨大企業と言う感じです。

2018.12.14 訂正)7.2億ドルではなく78.8憶米ドルでした。お詫びして訂正いたします。

実は両社は既に去年の2017年10月にDominoの開発に関して「戦略的提携」を締結すると発表し、今回ほどのインパクトではないまでもNotes/Dominoを知る人たちを大きく驚かせたのでした。

戦略的提携って?

1年前に発表されたのはIBMとHCLの「戦略的提携」。つまり、IBMはNotes/Domino製品の販売を継続し、HCLはNotes/Dominoの開発・保守を行う、ということでした。それは言い換えるとHCLは開発・保守を行うために必要な開発リソースを全て取得したということであり、面白いのはそういったNotes/Dominoの開発リソースから独自に進化させたHCL版Notes/Dominoを開発して販売することなどは既に可能な状態でした。

※実際に2018年5月ロッテルダムで行われたEngageイベントではNotesクライアントのHCL版として挑戦的な試みであるHCL Placeという内容が発表されNotesクライアントみたいだけど動画が動いたり、Sametimeではないチャットが組み込まれていたりと見る者をワクワクさせました。

※今回の売却の発表でも、戦略的提携の発表でもNotes/Domino以外の製品も含まれていますが面倒なのでNotes/Domino以外は割愛しています。

HCLはNotes/Dominoを愛している?

ちょっと偏った切り口の表現ですかね?

これに関しては私は当事者ではないので「Yes」と答える資格はないのですが、「Yes」であると言うに足りるHCLのエンジニアを今まで世界で沢山見てきました。確信を持って言えるのは、現在HCLに在籍するNotes/Domino開発に携わるエンジニアの多くはNotes/Dominoに深い知見と開発ノウハウを有しています。

なぜか? 去年の戦略的提携の際、多くのNotes/DominoエンジニアがIBMからHCLに既に転籍しています。その中にはICSに20年以上の経験をもつStuart McKay氏(カナダのトロントが拠点)、同じく25年以上の経験をもつFrancois Nasser氏(USイリノイ州シカゴが拠点)をはじめ、去年Domino V10をリリースするにあたり、Domino 2025 Jamで世界各国からの要望を見聞して回ったBarry Max Rosen氏、IBM Connectionsを始めとしたソフトウェア開発責任者のJason Roy Gary氏、ICSエンジニアとして数々の開発を行ってきたAndrew Davis氏など、Lotusphere時代からのスーパースターと言えるそうそうたる メンバーがHCLに移籍後も継続してICS製品の開発を行っています。

 

HCLはNotes/Dominoを進化させるか?

「Yes」です。Domino V10が丁度2か月前の2018年10月10日に発表されました。

僅か1年にも満たない期間ですが、HCL開発のもとNotes/Dominoは既に目覚しい進化を遂げました。

・全く新しい全文検索の機能をもつ「Domino Query Language」

・(まずは) iPadで動作するNotesクライアント「Domino Mobile Apps」

・Node.JSからgRPC経由でDominoデータベースにアクセスできるnodeモジュール「domino-db」

・Domino 「OAuth」対応

等は全て去年の戦略的提携の後に発表され、現実された機能です。(※OAuth等は12月10日現在、App Dev Pack Ver1のリリース待ち。)

個人的にはIBMが行ってきた過去5年相当にあたる開発がこの1年足らずで行われたような感覚でいます。

 

Notes/Dominoはグループウェア(メール・カレンダー)にあらず

昔のNotes/Dominoを知る人たちは必ずNotes/Dominoを「グルーウェア」と表現します。

これに関して、Notes/Domino を7から触れた、(比較的)Notes/Domino経験が浅い開発者の私はずっと大きな違和感を覚えています。自分が思うNotes/Dominoが持つ真の力は「アプリケーション開発プラットフォーム」に他ならないからです。

ちなみに自分が一番好きな言語は今でも多分C++かもしれません。高校時代に初めてC言語に触れ、Java、C#、PHP、Node.JSなどいろいろな言語を学ぶ機会があり、いろんなフレームワークに触れる機会がありましたが、Notes/Dominoに惚れ込んだのは言語からではなく、ACL、クラスタリング、レプリケーション、シングルサインオン等のアプリケーション開発基盤が全て揃っているからでした。

「サーバーがクラウド・オンプレ含め世界中で数十台繋がっていて、それぞれ冗長化のためのクラスタリングが行われており、アプリ自体はエンタープライズが求める組織権限を柔軟に対応する必要がある。」などと聞くと、よっぼど経験豊富なSE、PMが集まらなければプロジェクトを成功に導けないでしょう。

Notes/Dominoであればこれら開発基盤が整っているため、大げさな話ではなく私一人で開発が可能なケースだってあります。

 

Notes/Dominoと日本

残念ながら、現時点では、海外ほどHCLのもつNotes/Domino開発実績を評価する人たちは日本には少ないように思います。自分は2018年3月のIBM THINK(US)、5月のEngage(オランダ)イベントを通して、海外ではHCLに在籍の元IBM(元Lotus)が自信に満ちた内容の素晴らしいセッションを行っているのを目の当たりにしてきました。

EngageでIBMとHCLのエンジニアがセッションを行う様子

これからの日本にまず必要なことは、海外と同じようにHCLと繋がりを持ち、製品への正当な評価を行いながら一緒にNotes/Dominoを進化させていく環境を整えることだと思っています。

 


【12月7日開催】ノーツコンソーシアム オープンセミナー 2nd Stage in 九州!IBM Notes Domino V10 新機能紹介 - IBM Championセッションで登壇します

「九州初上陸!IBM Notes Domino V10 新機能紹介&体験会」

11月22日に東京会場で体験会、ハンズオンが行われ IBM Notes/Domino V10新機能の紹介、IBM Domino Mobile Appsを直接触って試してみる機会がありました。今回、2nd Stageと題して九州、福岡でも開催されますのでご紹介です。

また、当日は弊社から田付が「IBM Champions が語る最新 IBM Notes/Domino アプリケーション」というセッションを受け持たせて頂きます。(詳細は下に記載)

Notes Domino V10の新機能を知ることができ、体験まで出来るまたとない機会となりますので、皆さまのご来場をお待ち申し上げております。

■アジェンダ

14:00 – 15:30 IBM Notes/Domino V10 最新情報
15:30 – 15:40 休憩
15:40 – 16:10 Domino Mobile Apps 製品体験会
16:10 – 17:00 IBM Champions が語る最新 IBM Notes/Domino アプリケーション
17:00 – 17:10 ノーツコンソーシアムのご紹介
17:10 – 17:30 質疑応答
18:00 – 懇親会  (ノーツコンソーシアムより\2,000円の補助あり)

【弊社関連セッション】

IBM Champions が語る最新 IBM Notes/Domino アプリケーション

16:10–17:00
スピーカー:田付 和慶 (IBM Champion)
10月10日に東京で行われた「The World Premiere of Domino V10」イベントで大変盛況であったIBMチャンピオンセッションを福岡でもご紹介したい、ということで、この度IBMチャンピオンを代表して、弊社 田付 和慶が「IBM Champions が語る最新 IBM Notes/Domino アプリケーション」セッションを講演させて頂きます。

 

【 開催概要について 】

【2018年12月7日(金曜日)】

開催場所:

株式会社イノス 福岡本社 会議室

時間: 14:00-17:30 (13:30 開場)

お申込み、詳細はこちら


[デモムービー] Notes/Domino Day 2018 Autumn IBMチャンピオンセッション - Watson Workspace/Domino OAuth/Node-Red連携デモ

先日、2018年10月10日にThe World Premiere of Domino V10(Notes/Domino Day 2018 Autumn)東京 が行われました。

Domino V10(英語版)リリースが発表され、また多くのNotes/Dominoの新機能が盛り込まれたため近年にはない盛り上がりを見せたイベントになったと思っています。

そんなイベントの1コマのセッションをIBMチャンピオン達とIBM佐藤 淳様で無事終えることが出来ました。

当日は大盛況となり、我々のセッション「IBM Champions for ICS が語る最新 Domino アプリケーション事例」は満員状態でした!

そんな中、トップバッターの加藤 満氏は「Domino アプリケーション レガシーとモダナイズ」というテーマでNotesクライアント用アプリ開発に改めてスポットを当てた開発手法を説明していました。V10ではiPadで既存のノーツアプリがそのまま動くようになる「IBM Domino Mobile App」が発表され、それにリンクするようにiPadで使いやすいアプリ開発手法の紹介となっていました。

次の、御代 政彦氏は、「REST で広がる Domino の世界」と題して、Domino Access Servicesを利用してJSONデータを取得する方法から、V10で実装されたLotusscript NotesHttpRequestクラス、DQL(Domino Query Language)まで外部連携のコアテクノロジーの紹介をしていました。実際にベータプログラムで動作確認をした経験をもとに解説されていたのでリアルな開発者の声になっていたと思います。

次の吉田 武司氏は「Domino meets ロボット」と題して、実際に御代氏が解説したDomino Access Servicesを実践的に使い、またOnTime Group Calendar APIを組み合わせることでロボット(ユニボ)とDominoの会議室予約を連携するというデモを行っていました。

最後、私、田付 和慶のパートでは実際に吉田さんのデモでロボットがWatson Workspaceへ予約完了通知を行った後に、Watson workspaceからWatson Work Service Action Fullfilmentの機能を使い、バックエンドロジックをNode.JS(Node-Red)で組むことでDomino に格納されている文書を取得し連携をするというデモを行いました。また連携時の特徴として弊社開発のOAuth2 Provider(DOAP)を利用することにより、Domino WebユーザーのID/パスワードを利用する代わりにOAuthトークンによって安全に認証・認可を行うことを可能としています。

実際はDomino App Dev PackというパッケージでIBM/HCL開発によるOAuthが実装可能になります。現段階ではそのOAuthが手元にないため、弊社OAuthを利用しました。Domino V10以降の開発の世界を垣間見てもらえたら嬉しいという気持ちで行ったデモでした。

Watson Workspace/Domino OAuth/Node-Red連携デモムービー

ただ、当日少しうまく説明出来なかったとの反省があったので、その時に使ったデモを改めてムービーにしました。

Node-RedやDOAPの機能をさらに掘り下げて紹介しています。是非ご覧ください。


【10月10日開催】IBM Notes/Domino Day 2018 Autumn Tokyo - IBM Championセッションで登壇します

「【B-2】開発者が語る 最新Dominoアプリケーション事例」

IBM Notes/Domino 10(日本語版) リリース日の発表があるか?。(IBM Notes/Domino 10英語版は明日10/10リリース!!)

「The World Premiere of Domino V10」と題して世界各国で開催される10/10のV10イベント。

IBMによりNotes/Dominoの新バージョン 「V10」の全貌が紹介されます。タイムゾーンの関係上、日本、東京での開催が世界に先駆けて行われ、V10の新機能をデモを交えて紹介、アップグレードに向けたご案内、最新テクノロジーを活用したDominoアプリケーション開発事例なども紹介されるようです。

そんなイベントにて「【B-2】開発者が語る 最新Dominoアプリケーション事例」と題してパートナー企業に所属している日本IBMチャンピオン達4名のよるセッションが行われ、弊社からも田付 和慶、加藤 満が登壇させて頂きます。

皆さまのご来場をお待ち申し上げております。

そして、イベントの後はDomino V10を歓迎するパーティーがNotes/Dominoを愛する有志の方々の力で開催されます。

当日はビンゴ大会で豪華賞品も用意されるかも?

http://domino.v10party.com/2018.nsf/pages/V10Party

皆さん、乗るしかない、このビッグウェーブ!(笑)  是非一緒に楽しみましょう♪

【弊社関連セッション】

【B-2】開発者が語る 最新Dominoアプリケーション事例

2018/10/10 17:00–17:45
スピーカー:IBM Champion
場所:野村コンファレンスプラザ日本橋 6F

IBMチャンピオン4名がそれぞれ協力し合い最新テクノロジーとデモをご紹介します。

 

【 開催概要について 】

【東京 2018年10月10日(水)】

開催場所:

COREDO室町1 5F 日本橋三井ホール
(東京都中央区日本橋室町2-2-1) [ 基調講演、Aトラックセッションはこちらで開催 ]

野村コンファレンスプラザ日本橋 6F

(東京都中央区日本橋室町2-4-3) [ IBMチャンピオンセッションを含むBトラックセッションはこちらで開催 ]

時間: 13:00-17:45 (受付開始12:30)

くわしくはこちら


panagendaとISW との パートナー契約締結のお知らせ

この度、MarvelClient や ApplicationInsights など IBM Notes/Domino 環境をさらに強化するソリューションを提供する panagenda 社と IBM Connections (オンプレ/Cloud)の機能を補完する Kudos Suite を提供する ISW 社と日本市場における戦略的パートナー契約を締結しました。

このパートナー契約を機にプロダクトセールス事業部を新たに設立し、パートナー製品の日本語化ローカライズに加え日本市場におけるライセンス販売と製品の1次技術サポート、及びケートリック社の自社製品販売の活動を本格的に開始します。

panagenda 社の概要と製品

panagenda 社はオーストリアに本社、アメリカ、ドイツ、オランダに拠点をもち、全世界のビジネスパートナーと協業体制をもちながら70ヶ国にソリューションを提供する IBM Collaboration Solutions の製品ビジネスパートナーでは最大規模の会社です。panagenda 社は以下の製品を中心に IBM とビジネス展開しています。

panagenda ApplicationInsights
panagenda MarvelClient

panagenda ApplicationInsights は IBM と S&S サブスクリプション契約を結ばれているお客様は無料でご使用いただけます(機能制限あり)。

更に皆さんにはビッグニュースです!!
70ヶ国に約1,100万のユーザーが使用する panagenda MarvelClient はこの度「MarvelClient Essentials」(MCE)として、IBM Notes/Domino 10 にバンダルされます。v10 以前のお客様もMCEをご自身でダウンロード、セットアップしていただくことでご使用いただけます。しかも、MarvelClient Essentials はすべて無料です。

ISW 社の概要と製品

ISW 社はオーストラリアの IBM のプレミアビジネスパートナーで IBM Connections 上で稼働するアドオンソリューション Kudos Suite を提供しています。Kudos Suite

Kudos Boards (Connections Cloud で日本語化対応済 Apps Catalogにてトライアル、購入可)
Kudos Badges
Kudos Buzzy
Kudos Ideas
Kudos Analytics
Kudos Awards
で、IBM Connections の利用率が上がらないとお悩みのお客様に、ユーザーが積極的に参画を自然にできるようなソリューションを提供しています。

このパートナー契約および製品に関するお問い合わせはこちらからお願いします。


2018/9/6,7 Notes/Domino Solution 2018 弊社セッションのご紹介

「XPagesからさらにその先へ、最新Dominoアプリケーション開発で企業のノーツアプリはこう生まれ変わる」

Notes/Domino 10 リリースを目前に控え、本年もNotes/Domino Solution イベントを開催されます。

TDK株式会社様の事例講演をジェネラルセッションに据え、ソリューションサイドとしてグループカレンダー、ポータル、安価で構築できる会議室ドアサイン、デベロッパーサイドとしてDBのHTML化ツール、REST ServiceによるDomino活用、最新開発手法によるDominoアプリケーションの再生、そしてNotes/Domino 10 最新情報。

これからのNotes/Dominoの活用方法を、そして仕事のあり方を考えて行く全企業様にとって、エンドユーザ様にも、情報システムご担当者様にも、そして経営者様にも実りある内容となっております。

皆さまのご来場をお待ち申し上げております。

イベント参加はこちらのリンクよりヘッダー付近の「9月6日 東京 お申込み」「9月7日 大阪 お申込み」から行ってください。

【弊社セッション】

XPagesからさらにその先へ、最新Dominoアプリケーション開発で企業のノーツアプリはこう生まれ変わる

9/6, 9/7 15:40 - 16:10

通年Notes/Dominoユーザーである企業様へのXPAGES開発を行っている弊社がXPAGES開発のノウハウをまとめた「XPagesマスターテンプレート」をご紹介します。またXPAGES開発だけではないNode.JSやNode-Red、Watson Workspaceを用いたNotes/Domino連携を可能にするDomino OAuth2 Providerをデモを交えてご紹介いたします。

ケートリック株式会社
代表取締役
田付 和慶 氏

【 開催概要について 】

【東京 2018年9月6日(木)】

場所 IBMイノベーション・センター(IIC)
東京都中央区日本橋箱崎町19-21 日本IBM本社 6階
時間 13:00-17:30 (12:30受付開始)
お申込みはこちら

【大阪 2018年9月7日(金)】

場所 D-SPOT-ZERO
大阪市中央区備後町2丁目4-10 第一住建備後町ビル8階
時間 13:00-17:30 (12:30受付開始)
お申込みはこちら

両日の詳細アジェンダ・タイムテーブルはこちら


IBM THINK 2018 レビュー:Dominoアプリケーション on iPad

IBM THINK 2018イベントが3月19~22日ラスベガスで開催されたので参加してきました。
去年まではC&TSブランド(コラボレーション&タレントソリューションズ事業部)はLotusphere, IBM Connectと名前を変え単独でイベントを行ってきましたが今年からIBMの全てのブランドのイベントであるIBM THINKにマージされる形で開催されました。

そんな中、Notes/Domino関連の新しい発表でひと際インパクトの大きかった「Dominoアプリケーション on iPad」に関して得た情報を記事にしてみたいと思います。

実際に現地でiPadで動くNotesアプリを体験することが出来ました。(こちらの動画をご覧ください)

自分が参加したセッションでは実に4つのセッションでDominoアプリケーション on iPadが紹介され、その中でも「Domino Top-Secret and Domino Full-Stack Development」ラボでは実際にIBM, HCLの開発者たちとiPadのDominoアプリケーションに対する疑問をその場で検証し、なにが出来て何が出来ないかを一緒に確認するという実験的なアプローチがおこなわれました。

実際にラボのスピーカーであるAndrew Davis(IBM→HCL)が「このアプリをクラッシュさせる次の質問は?」と参加者に質問を投げかけていたのは面白かったです。本当に開発者、参加者が共にこの新しい発表をエキサイティングに捉えていて、みんなで楽しんでいることが分かる時間でした。


そんなDomino Apps on iPadに関して発表された情報を箇条書きにします。

  • App Storeを通じてiPadにネイティブアプリケーションとしてインストールして使用
  • 1つのIDと1つのDomino Serverへの接続のみが可能
  • ID Vaultの設定が必須
  • オフラインでの利用が可能(オンラインになって複製をするということが可能)
  • iPadのアプリはノーツポート(NRPC、1352)で通信を行う
  • LotusScriptがそのまま動く
  • 複雑なフォームやロジックもそのまま動作可能
  • Notes/Dominoが持つ暗号化、セキュリティをそのままiPadで利用可能

やはり、一番の驚きはLotusscriptがそのまま動くというところだと思います。ノーツポートで動作するアプリということからも今回IBMはNotesクライアントのアプリケーションが動作するプラットフォームをiPad上へごっそり移植することに成功した、というイメージにとらえています。ただAndrewは別のセッションでiPadで動作させるために表示をそのままではなくスペースを設けるなど手を加える必要があった、と説明をしていましたし、実際iPhoneでのアプリの開発はiPadよりも難易度が上がるようです。

さらにラボなど個人的に得た情報では

  • フォームに記述されたJavaScriptは動作しない(Appleはアプリ上でJSを動作させることを許可していないことにも起因)
  • XPiNC(XPages in Notes Client)は動作しない
  • iOSのネイティブコントロールである日付ピッカーなどへの対応はまだ開発中
  • タッチジェスチャーにも対応したい
  • カメラやファイル連携などデバイスへのアクセスに対応したい
  • GPSやコンパス、ライトセンサーなどにアクセス可能になるようLotusScriptを拡張したい
  • Designer V10ではiOSであることを判断できる関数(?)をサポートしたい
  • iPadの次はiPhone, 次のチャレンジはAndroid
  • Android版の開発も進んでいるがWebGL(WEBASSEMBLY)というテクノロジー等を導入しなければならないかも
  • WebGL(WEBASSEMBLY)での実装の先にはブラウザで動作させるという展望もあり得る
  • フォーム上で右クリックでコンテキスト表示などにも対応(長押し)、(ただ現段階では操作性が良いとは言えなかった)
  • リッチテキストフィールドにテーブル新規作成はまだ出来ないけど、コピペはできた
  • リッチテキストの文字の装飾などは出来た
  • リッチテキストに絵文字も追加出来た
  • ダイアログ表示等、多言語へのサポートはまだ出来ていない点が散見された
  • ハイパーリンクの追加も出来た
  • 右クリック - コンテキストメニューからスペルチェックは動作しない
  • 全文検索も動く
  • ECLダイアログ表示や相互認証の警告なども再現

Domino Apps on iPadに触れてみた感想

ラボで開発者と使い倒しをしてみたり、実際に触れてみて感じた感想は、現時点でそれなりに良い出来に仕上がっていると感じました。動作が不安定になり再起動させることはありましたがクラッシュするような場面には今回遭遇しませんでした。

今回の発表が幾多ものノーツアプリを抱える企業にとって朗報になることは間違いないでしょう。これによってノーツアプリのWEB化が急速に萎んでしまうとは考えていませんし、ノーツのWEB化を推進してきた弊社としても今回の発表を歓迎しています。それはなによりエンドユーザーがノーツアプリの塩漬け状態から脱する機会となる、そんな選択肢が増えることはいいことですし、それによりNotes/Dominoを使い続けるユーザーが増えてくれることを期待するばかりです。

ただ、懸念を上げるとすれば、「ノーツの見た目は古い」と言う勢力がまた現れないか、ということです。弊社は新しいWEBテクノロジーを駆使してノーツアプリを刷新することを得意としてきました。そうすることで微力ながら「ノーツの見た目は古い」という誤解をもつ人たちが少しずつ減るよう努力してきました。

自分はアプリケーションのモダナイゼーションは必ずしもアプリケーションをWEB化することだとは考えていません。これからの時代、アプリケーションのExtensibility(拡張性)がよりビジネスを加速させるために必要不可欠になってきます。そのためにMicroserviceであったり、Dockerなどの仮想化技術がどんどんアプリケーションの疎結合を後押ししています。

Domino Apps on iPadを検討する場合にも、10年まえのアプリをただそのまま動かすのではなく、是非「見た目をよくする」、「アプリを拡張、成長させる」ということへの投資を惜しまないで頂きたいと思います。

IBM THINKフィードバックセッション 行います

「Domino Top-Secret and Domino Full-Stack Development」ラボへの参加者は日本人からは自分ひとりだったので恐らく現時点でここまで細かな内容を知っている日本人はあまりいないのではないかと思います(笑)、さらに夜に開発者と酒を飲み交わしながらDomino Apps on iPadの誕生秘話なんかも聞けたりして面白かったです。

よりDomino apps on iPadに関して興味がある場合は、2018年4月20日にIBM箱崎本社で開催されるテクてく Lotus 技術者夜会へ参加してみてください。私も含めてIBM THINKのフィードバックセッションをゆる~く行う予定となっています。 さらにDomino Full-Stack DevelopmentとしてDomino Node.jsに関する最新情報もお伝えする予定です。

申し込みはこちらから → https://www.ibm.com/developerworks/jp/offers/events/techtech/#com


Domino 10とアプリケーション開発

2月28日にIBMとHCLがホストするDomino 10に関する初のWebCast “Let’s Get Real: What’s in Domino v10.”が開催され、多くのIBM Notes/Domino Version 10 についての発表がありました。

以下のURLからリプレイが参照可能になりました。

http://bit.ly/2ti63ba

その中でも今回はアプリケーション開発にフォーカスしてみたいと思います。

JavaScript Node.js

大きなアナウンスの1つとしてnode.jsLoopBack(Node.JS API framework)のサポートの話がありました。Domino 10ではフルスタック開発環境としてnode.jsでの開発が可能となります。これはnode.jsの機能の一部分だけがDominoに取り込まれるというような限定的な話ではなくnode.jsがDominoバイナリーディレクトリに追加されるということらしく、NodeJsエンジニアがnpmから好きなオープンソースライブラリを使って開発するような通常と変わらない開発がDominoでも出来るようになります。

これにより多くのNodeJSエンジニアがDominoをプラットフォームにした開発へ乗り出す機会になることを期待できます。

またセッション中にはnode.jsとLoopBackのデモがありました。デモでは重たいと不評であるEclipseベースのDomino Designerではなく、自分も愛用するMS VSCodeがエディターとして使われていました。そして実際の中身はnode.jsからNSFへLoopBackを使いアクセスし一覧参照や新規で文書作成するというようなことをデモしていました。

ちなみにデモをしたのはIBMからHCLへ転籍したJason Gary氏でした。彼は1年前のIBM Connect 2017ハッカソン会場で我々にIBM Connections PINKがオープンソースを使い開発していることを熱く語ってくれた人で、彼がHCLでDomino、Connectionsの開発に引き続き携わっているということを知れたのは朗報でした。

自分がNode.JSでノーツ開発が出来ると聞いたときに真っ先に思い浮かんだ疑問は、「ACLはどのように扱うのか?」「非表示式にロールやグループで判断している箇所はどのように実装するのか?」というものでした。
こういった疑問を払拭する説明は残念ながら今回ありませんでしたが、デモで表示していたNode.JSファイルの中で興味深い設計を見つけました!


acls, validations という名のプロパティがある!!
うーん、しかし想像を膨らませてみてもこのプロパティの存在意義がなんなのかよく分かりません(笑) やはり理想はJavaのnotes.jarのように全てオブジェクト(json)でnode.jsが参照出来ることなのかなと思っていたのですがLoopBackのデモを見るともしかすると全然違うアプローチでの実装になるのかもしれません。

XPages、Java開発は?

今回のWebCastではXPages、Java開発に関しては多くを触れられませんでした。しかし自分はDominoでのXPages開発やJava開発が古いものとして取り残されるという話ではないと考えています。
XPagesの部分更新(Partial Update)機能だけを取り上げてもXPagesが他の開発プラットフォームと比較してRAD環境であることを証明するに足りると感じますし、なによりNotesフォームの表示、非表示式などとの親和性が高いのが魅力的です。

また、たまにXPagesで重たいアプリケーションになってしまっているケースを見ることがありますが、これはJSFのライフサイクルを理解せずに開発を行ってしまっていることが主な原因であることが多く、SSJSよりJava(w/ Managed Bean)での開発を積極的に取り入れることで必然的に無駄のない開発を行えるようになったりします。

OAuthベースの連携

これはスライドでサラッと振れられていただけでその中身までは説明はなかったですが、DominoログインがOAuthによって出来るようになるというような話であれば今後Dominoでのモバイルアプリ開発やクラウドアプリ開発で大いに活躍しそうです。この点は自分の完全な希望的観測です。

E-Search

Elastic Searchの説明が少しだけありました。今回、全文検索に関して「Full text auto-update on search and resilience」という機能強化が盛り込まれるという話がありましたが、Elastic Searchというものはおそらく現在のDomino全文検索とは別物で複数のDBにまたがった横断検索が出来る可能性を秘めているようです。興味がある方はElastic Searchで検索をしてみてください。

IBM THINK 2018

その他、様々な機能の説明がありましたが、自分が気になる機能の一部をブログにしてみました。興味がある方は是非ブログ最上部のリンクから動画をみてみてください。さらに深堀できるように3月20日から行われるIBM THINKでさらに情報収集をしてこようと思います。


2017/11/15ノーツコンソーシアム オープンセミナー2017 弊社セッションのご紹介

「S21 XPages開発でここまで出来る!モダンアプリの開発事例一挙見せ」

ノーツコンソーシアム様主催による「ノーツコンソーシアムオープンセミナー2017」が、2017年11月15日(水)に東京 IBM箱崎本社にて開催されます。

弊社からは「S21 XPages開発でここまで出来る!モダンアプリの開発事例一挙見せ」と題して弊社がこれまで培ってきたXPAGES開発のノウハウを事例を交えてご紹介してまいります。

また当日は弊社セッション以外にXAPGESDAYから【H13 『XPages DAY』XPages のさらなる効果的な活用方法について】 というセッションを開催しています。

こちらではアイディアを出し合いながら議論をする Ideathon (アイディアソン)を行います。目からうろこな IBM Notes/Domino の活用方法に出会えるかもしれません。こちらも是非ご参加ください。

ご興味があるかたは是非ご参加ください。

イベント参加はこちらのリンク下の「お申込みリンク」から行ってください。

【弊社セッション】

S21 XPages開発でここまで出来る!モダンアプリの開発事例一挙見せ

11/15 10:00 - 10:45

本当は見せたくないかも、XPages開発に特化したケートリックが高度な開発ノウハウを
一挙に公開します。スライド公開無しで挑む当日限りの一本勝負

ケートリック株式会社
代表取締役
田付 和慶 氏

【 開催概要について 】

日時2017年11月15日(水)10:00 – 17:00

場所日本アイ・ビー・エム株式会社 本社事業所

【詳細・お申込みについて】

イベントページ https://www.notescons.gr.jp/home.nsf/event.xsp?action=openDocument&documentId=6BE341E1475DE2594925816E002FF2FC


Notes/Domino Day 2017 最新情報

2017年9月19日(火)、御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンターでIBMによるイベント「Notes/Domino Day 2017」が開催されましたので参加してきました。

IBM主催のイベントでNotes/Dominoの名前が入るのは何時ぶりなんでしょう? かの米国開催のイベント「Lotusphere」の名前を聞くような、そのタイトルだけでも心にぐっと来てしまう、今回はIBMの心意気を感じて仕方ありませんでした。日本IBMさん、グッジョブです!

そして、その基調講演ではプロダクト&デザイン, IBM Collaboration SolutionsのバイスプレジデントであるEd Brill氏が日本まで講演にやってきてくれました。


今回はこのイベントにふさわしい新たな新サービスの発表がIBMからありましたので最新情報と題してブログにしてみたいと思います。

IBM Domino Application on Cloud(DAC)

個人的には今回のイベントでの大きな発表の1つは「IBM Domino Application on Cloud」だと考えています。

IBM Domino Applications on Cloud
金色のDominoアイコン?!

「IBM Domino Application on Cloud(以下、DAC)」と言う名の通り、この新たなサービスではユーザーのNotesカスタムアプリ(NSF)をIBMが用意するクラウド環境Dominoで稼働させることができるようになります。

2017年10月にサービス開始なのでもうすぐですね!

実はIBMは3年ほど前からIBM Domino Applicationをクラウドで稼働できる環境を用意するという発表をしており、それに対して「XPages on Bluemix」こそがIBMが用意した回答であると自分は勝手に考えていたのですが嬉しい意味で裏切られました。

今回の発表で、ユーザーはより簡単に既存ノーツアプリをクラウドで稼働させることが出来るようになるはずです。そして煩わしいオンプレミスDominoの保守・運用、それにかかる経費の削減に寄与する強力な選択肢の一つになるはずだと期待できます。(XPages on Bluemixは運用都合上オンプレミスDominoからの脱却にはならないですからね)

「IBM Domino Application on Cloud」に関して発表された内容で覚えているものを箇条書きにしてみました。

  • 自社のCertIDを使って環境を構築
  • 既存のノーツアプリやカスタムテンプレートを用いたノーツアプリを作成することが可能
  • ノーツクライアント、ICAA,WEBからの利用が可能
  • 保存データの暗号化
  • メール配信やエージェント実行が可能
  • オンプレミス⇔クラウド間でDominoアプリを複製が可能
  • サーバーはユーザー側で触れるようにはならない(アプリはユーザー側で管理者権限を持たせて運用)
  • DominoサーバーアップグレードはIBMにより実施
  • データベースサイズは25GBまで
  • Dominoクラスタリグはオプション
  • DAOS有効化はオプション
  • Domino Access Serviceはオプション

技術的な話をすると、このDACですがDockerの技術を使って構築されているとのことです。(コンテナーにデプロイされたDominoサーバーがアプリケーションをホスト) このDominoのDocker機能はDomino as a Service(DaaS) として今後もしかするとユーザー側で構築が可能になるかもしれないですね。
Domino As A Service

またデータセンターは2017年10月の初期段階からIBMの東京データセンターで稼働するというのも見逃せません。
Tier 1 ロケーションとしてまず、US(アメリカ)、AP(日本)、EU(ドイツ・オランダ)が提供され、Tier 2ロケーションとしてオーストラリア、インド、中国と順次拡大していくようです。

DACのライセンスについて

DACのライセンス形態について発表があった内容ですが正直これらの内容は今後も色々と変更や追加が起きそうな予感。

  • DB毎月額課金
  • 1年以上の契約
  • BYOL(Bring Your Own License)モデル (Enterprise ServerやUtility ServerなどSS&S ライセンスが別途必要)
  • 最低10DBより利用が可能

まとめ

今回突如発表されたIBM Domino Application on Cloud」ですが、既にクラウドで利用可能なメール、カレンダーソリューションのVerseに加わりDominoのクラウドを加速させるための環境が整いつつあると感じさせます。 またXPages on Bluemixという選択肢もDACと組み合わせることで外部システム連携などアプリケーションの進化への可能性を広げることになるのではないかと期待してしまいます。

Notes/Dominoの競合製品で完全クラウドソリューションを売りにし、「まだオンプレミスでしか動かないNotes/Dominoアプリ」と言わせる機会を与えてしまっているとしたら、今後対等以上に渡り合っていけるようになったのではないかと思います。結果、XPages開発に対しても今よりスポットライトが当たることになると自分としてはさらにうれしいです(笑)